元最強魔法使いは森の中でスローライフ
ウィング
第十八話「暴走」
しからが俺に向けて暗黒魔法を放ってきた。どうやら暗黒魔法が得意らしい。
ーー浄化ーー
ーー成功ーー
俺は見事に消し去った。しかしキリがない。当たると毒になるため、極力当たりたくない。
ーー魔力構築 炎帝ーー
ーー成功ーー
俺は炎帝を放ったが見事に避けられた。しからは俺の魔法を撃たせる前に魔法をどんどん打ってくる。
ーー魔道書ーー
ーー成功ーー
俺は片手に魔導書を持った。魔導書は魔法の構築時間が短くなる優れものだ。
しかしこれかなりの額するし、使う魔法も限られてくるので使っていなかった。
「スターライト。」
星型の光があいつに降り注ぐ。結界は持っていないけど避けれるから辛いな。
「光魔法か、なるほどなるほど。」
ヌーイからまた交信が来た
『大丈夫かKOHA9さん』
『あいにくしからと戦闘中だ。』
「そうかやばいな。あいつはユニークマジック使ったのか?』
『いや、ユニークマジックは使ってないみたいだ。』
『そうか、あいつのユニークマジックには絶対に気をつけろ、と言うか出させるな。』
『OK、その前にケリをつける。』
「ダークソード」
闇の剣が俺に降り注ぐ、一応全属性結界持ってるからそいつで守ることにする。
ーー光属性魔法構築 光属性最高強化ーー
ーー成功ーー
「蘭華の向日葵。」
この魔法は闇の瘴気を取り払いつつ、相手に最大級のダメージ、
また戦意を喪失させるまほうである。
「これで終わりだ。」
ーー光属性魔法構築ーー
ーー成功ーー
ーーホーリーライトーー
これで相手は浄化されたはず...しかし奴はまだ生きていた。
「お前の弱点は素直にユニークマジックを使わないことだ。出し惜しみは良くないぞ?だから俺が先に使う。」
「ユニークマジック、百鬼夜行。」
そう言うと辺りが暗くなった。空は赤くなり、雲は黒くなった。これがあいつのユニークマジックか。
「八百万の神よ、我に力を与えたまえ。」
しからの推定魔力量、俺の8倍!?
「ははは、これで俺の魔力量は普段の20倍だ。さぁ、どうするKOHA9。」
いやこれはまずいな。相手に勝てる兆しが見えない。最終奥義だ、あれを使うしかねえ。
「いや、俺はお前に勝てる兆しが見えない。だが、俺は時間稼ぎをすることならできる。やってやろうじゃねえか。」
そうすると俺は魔法の詠唱に取り掛かった。
詠唱魔法は時間がかかる分それだけ使う魔力量は少ない。
「全てを喰らい尽くし...」
俺ができることと言ったらそれしかない。全身全霊の禁忌魔法。
「終焉ノ世界!!」
そう言うと空からでかい実態を持たない怪物が現れ、しからに襲いかかる。
「消失魔法、ジスク」
そうしからが言うと、その化け物がいなくなった。あぁ、俺は終わりなのか。俺はこのまま死んでいくのか。
「残念だったなKOHA9、お前の負けだ。」
そう言うと巨大な暗黒魔法を放った。どうやら回避不能結界貫通のようだ。
俺は死を悟った。どうせ俺は死ぬんだ。
そう思っていた矢先、六花が転移してきた。
「KOHA9さんは、だめええええええええええええええええ。」
六花は俺に暗黒魔法を放つ瞬間に俺のことを突き飛ばし、自ら暗黒魔法を喰らった。
俺の手に残ったのは絶命した六花の亡骸だった。
そこからの記憶は残っていない。
気がついた頃にはふーたん帝国の国王ふーたんを殺していた。
また、俺の魔法の跡が凄惨に残っており、住民は虐殺されていた。
「KOHA9さん。」
誰かに呼ばれた声がした。ぱっと振り向くとそこにはウィングが立っていた。
「KOHA9さん。俺はお前のことを殺さなくてはいけない。本当は生かしたいのだが...どうしようもないんだ。」
そうウィングは言った。そしてウィングは血まみれの剣を持ち、俺に立ち向かった。
俺が氷魔法を放つとウィングに命中した。ウィングは致命傷を負い、じきに死ぬだろう。
あぁ、俺はどうすればいいんだろう。もう生きるのが辛い。
そう思っているとウィングは最後の力を振り絞ってこう言った。
「HIIROだ。HIIROのところに行け。」
ウィングは死んでしまった。
家に戻るとそこにはらぴちゃんも居なかった。テーブルの上には「今までありがとうございました」と置き手紙があった。
そして家の横には六花の墓がある。俺はなぜか急に涙が出てくる。
「ああああああ、こんな惨めな俺を怒ってくれ六花。もう生きるのが辛い。」
そう言ったらふとウィングの言ったHIIROという人物が気になった。
最後の望みだ。行かなくては。
俺は六花の墓の前に花束を置いた。