元最強魔法使いは森の中でスローライフ
ウィング
第十二話「家」
六花の要望により、俺たちは家を建設するようにした。
「え~と~、部屋数は多い方が良いから1000部屋くらい作りたいな~」
そうバカなことを話す六花に対して俺は
「バカ野郎、掃除できないだろ。」
どうやらそこまであいつは考えて無かったみたいだ。
「うさぎの餌やりスペースが欲しい!」
「いやそれは動物園だ。」
この恐ろしく早いボケ、俺じゃなかったら見逃してるね。
「いいか、作る部屋は5部屋。リビングダイニングキッチン、俺の部屋、立花の部屋、ラピちゃんの部屋、物置。」
完璧な間取りである。実際大地魔法の応用で木材は作れるし、風魔法で全自動で組み立ててくれるし。問題は...
「そういえばあの家にあった家具とか全部燃えたんだよね。」
らぴちゃんと六花が急に顔を真っ青にした。
「あああああああ、王家に伝わるペンダントがあああああ。」
「あああああああ、お姉ちゃんからもらったヘアピンがああああああ。」
家具じゃなくて自分の装飾品の問題かよ、あ、でも
「ちなみになんだが、火事のあった直後にお前らのこと転送したじゃん。」
「はいはい。」
「その時にいろんなもの転移させたからその中にあるかも知れねーぞ。」
そう言い俺は転送後のいろんなものをばっとそこら辺に並べた。そしたら六花とらぴちゃんが一目散に飛び込み、
「あった私のペンダント!!」
「ヘアピンあった良かった~」
どうやらお望みのものはあったらしい。
「とにかく家づくりに取り組むぞ!転移魔法、六花の家。」
そう言い六花の家へ着いた。
火こそ消えているものの焼け爛れた家からは灰と炭しか残っていない。
「とりあえずそこに設計図を作って置いたから、それでも見ておいてくれ。」
俺は紙を取り出し地面に広げた。
ーー風魔法、大地魔法の元素を抽出ーー
木の材質は酸素、水素、炭素の三つ。それをうまく組み合わせて木を作る。
木の板が大量にできた。成功だ。
そのあとこれの形を変形させてっと。
そこから風魔法で組み立てるっと。
ほんの10分足らずで家の形が完成した。
「わーい、新しい家だ!」
六花はそう呑気に入ろうとしたので全力で阻止した。
「まだこの建設はまだ出来上がっていない、というかここからが本番だ。」
ーー大地魔法、鉄を生成 そして鉄の形を変形 木材の生成ーー
こうして釘が出来上がった。そこにさらに金槌も作った。
「いいか、これが釘と金槌だ。この接着面に対して釘をこうやって打ち付ける。わかったな。」
そう俺が言うとらぴちゃんが
「てっきりKOHA9さんが全部やってくれるのかと思った。」
と言った。俺は奴隷じゃねえ。
俺とらぴちゃんは浮遊魔法を使い、高いところの作業。浮遊魔法が使えない六花は低いところでの作業を行った。
汗をかきながら約3時間作業して完成した。
「これで完成だな。」
これで3人で住むには勿体無いくらい広い家が出来上がった。
あとは家具の買い足しだな。ヌーイからもらった金貨5枚、お出ましだ。
俺たちは街へ向かい、ベッドやらソファーやらテーブルやらランタンやらなんやら一式揃えた。
「おつりもかなり余ったし、なんか買いたいものあるか?」
俺がそう言うと、六花が
「服が欲しい!!」
と言った。俺は今まで振り回したお詫びに服を買ってあげよう。(これまでに金が意外とかかって実は俺のへそくりの超高価な戦利品(もう使わないやつ)を売ってるのは内緒)
「KOHA9さんどっちがいいかな?」
いつもはポンチョばっかり来てるから、ワンピースとか新鮮だな。さすがお嬢様似合います。
ってそう言う話じゃなくて今は究極の質問をされている。こういうときは大体本人の中で買う服が決まっている。それなら答えは一つ。
「どっちもいいんじゃないか?」
そういうと六花は悩んだ顔して
「う~ん、本当に困ったなぁ、でもKOHA9さんがどっちもいいって言うしどっちも買おう!」
いやそうとはならんやろ。でも言ったのは俺だし仕方ないか。
家に戻って家具の並び替えだな、これは六花が得意なので六花に任せた。
こうして家が完成した。
「やったー家の完成だ!ほら空見て、カラスも喜んでるよ。」
空にはカラスが飛んでいる。ん?待てよあのカラスおかしくないか?カラスのくせに俺たちの周りばかり飛んでいる。
そしてそのカラスが俺たちの元へ降りてきた。その瞬間そのカラスは人のような姿に変形させた。
「ういっす、KOHA9さんたち。」
どこかで見たことある顔だと思ったら、あの喫茶店の店員の1人だった。
「この手紙、国王からだ。」
手紙の中は国の暗号で書かれており、その内容は明日3人で国に来い。と書かれていた。
なんだか胸騒ぎがする。