元最強魔法使いは森の中でスローライフ

ウィング

第十話「セイクルシュティア王国」

俺とらぴちゃんは開いた口が塞がらなかった。
そんな表情を見て六花は
「KOHA9さんだって真実を話してくれた。私が喋らないのもおかしいよね。」
いつもの陽気な雰囲気とは逆に悲しい雰囲気が流れていた。
「私の親はセイクルシュティア王国の国王と女王だった。だけどある日突然奇襲がかかってきた。そうだな~あれは確か2年くらい前だった気がする。」
聞いたことがあった。俺がWORLDにいた頃、隣のセイクルシュティア王国で市民革命が起きたって。
「いや私さ、最初はめちゃくちゃ驚いたんだけど、そのうちあの平穏だった日々が壊れてしまうのかっていう恐怖に変わったんだよね。
そしたら父上と母上が[あなたは逃げなさい]って言ったんだよ。私は最初抵抗したんだけど、強制的に騎士たちに連れられて、馬車でこの森まで逃げてきた。
その一週間後かな、両親が死んだっていう報告を受けたのは。
私は泣き崩れたの。そして私は騎士たちを追い払った。[あなたたちはここで私の面倒を見るんじゃない。王国復興のために尽くしなさい]って。
例の一件が収まったのは、事件から1ヶ月後のことだった。革命は起きたものの民主主義になる前に鎮圧されたから国王の権力は残ってた。
でも兄は[父上と母上を見捨てたお前に用はない]って言って私のことを追放した。
だから私はあそこの家で暮らしてるってわけ。まあ国から金貨30枚貰ったけど2年生活してたら無くなるわね。
そして金欠になって果実を栽培してる時、KOHA9さんが転移してきたってこと。」
だからお金にめざといのか。そして逃げてきてあそこが拠点だったってわけか。いや、少し引っかかる。
「買い物ってどうしてたんだ?歩いていける距離では到底ないよな。」
そう質問したら、六花はしめしめと言いたげな顔で、
「私、転移結晶持ってるから!」
そうドヤってきた。そうしてポケットの中から転移結晶を取り出した。よく見ると、どうやら見覚えのあるような...あ!
「それ俺が作ったやつじゃん!!!」
説明しよう、結晶というのはダンジョンでとれる貴重な石である。そこに術師が魔法を入れ込むと、魔法が使えない人でも結晶を使えばその魔法を使えるようになるという代物だ。ちなみに1個金貨30枚。
懐かしいな。ぱぴこさんとウィング団長と俺で死ぬほど作らせれたな。まあおかげでお互い良い軍資金になったけど。
そしたら甘堕さんとらぴちゃんが目を輝かせて
「転移結晶!!!私も欲しい!!」
と口を揃えて言った。作れるんだったら作るんだけどね、結晶もめちゃくちゃ貴重なの、しかも作んのめんどくさいの。
「まあいいからうちに帰ろう」
そう六花が提案し、3人で帰った。甘堕さんのユニークマジックは片道切符なので、渋々馬車を使って帰ろうとしたところを俺が転移魔法で連れて行きました。
なんだって国王への報告があるそうで、国お抱えの魔法戦士は大変ね。
俺たちは家へ帰った。しかしドット疲れたな。今日はゆっくり寝よう。
ノックする音で俺は起きた。どうやららぴちゃんも気づいたらしく2人でドアへ行った。
ドアを開けると、小学生くらいの身長の犬耳の男の子が家に訪問してきた。
「ここがKOHA9さんの家なんやな~」
ちっちゃい子が話しかける。
「そうですけど、なんで俺の名前を知っている?」
「あ~しからってやつの紹介や!」
しからか、あの弱い魔術師。じゃあ大丈夫かな。
「壊したくなっちゃうな。」
その一言のあと、この家は炎の海に包まれた