元最強魔法使いは森の中でスローライフ

ウィング

第九話「魔法」

ウィングは転移魔法を使い、何もない草原に転送させた。
「ここなら誰の目にもつかないな。」
「え?なんで戦うみたいな流れになってんの?」
らぴさんはまだ状況を飲み込めてないようだった。それもそのはず招待された喫茶店に行って眠らされ、
起きたら急に殺し合いだからなぁ。物騒だマジで。
ーープログラム起動 火炎魔法ーー
ーー成功ーー
「ウィング団長にはお世話になっていますが、今回ばかりは痛い目見てもらいますよっと。」
そう言い俺は手から10mくらい伸びる炎を出した。
団長は「そんなもんか」と言いながら俺に向けて剣を振る
六花と甘堕さんは獣人みたいな人と戦ってるし、らぴさんもなんか知らん女の人と戦ってるし。サシでやり合うと辛いんだよなぁ
「へぇKOHA9、よそ見するとは余裕そうだな。」
懐に入った、避けられない。
「KOHA9さん!」
甘堕さんは咄嗟に防御壁を作り出した。
「助かった。センキュー。じゃあ俺も反撃しますかぁ。」
ーープログラム起動 結界魔法ーー
ーープログラム起動 爆裂魔法ーー
ーー大成功ーー
ウィングを結界の中に閉じ込め、その中に爆裂魔法をぶち込んだ。
さすがは団長、あんなに強い魔法を放ったのに生きてやがるよ。まあ死なないってわかってて打ったんだけど。
「あ、定時だから帰るわ店長。あざしたー。」
店員の2人は何故か転移結晶を使い帰っていった。
「さあ4対1だ。」
六花がめっちゃ力強く言った。
弱っているウィング団長にらぴさんはようしゃなく猛毒の矢を心臓に貫いた。
その一撃でウィングは死亡寸前の致命傷を負った。
六花は旧友の私を目の前にして何故かうるうるしていた。敵とはいえど一応同級生だからな
「あはははははは、4対1は流石に辛いな。でも面白い、今度は本気で行くがな。」
そういうとウィングは跡形もなく消えていった。
「え、ウィングせんせ消えた。死んで消えちゃった。」
そう六花が涙を堪えて話していると、俺とらぴさんが笑い出した。
「あははは。六花www。勘違いして泣いてやがるwwww」
「同級生が死んで悲しんで何が悪いのよ!」
そう六花が泣きながら叫ぶと、甘堕も賛同して
「一応15歳まで一緒に育った仲だし、私も悲しい。」
としんみりとした空気に俺たちはまた爆笑した。
「だからwww六花さんと甘堕ちゃんwwwウィングはまだ死んでないよwwwもはや無傷だよwww」
2人の頭の上にハテナマークが浮かぶ。滑稽だ。
「良い、説明しよう!ウィングは影分身というユニークマジックを持っている。その時の自分の影が無くなる代わりに、自分の分身を
1体作るという能力だ。つまりあれは影の方であってオリジナルはまた別のところに存在するってわけだ。」
六花はさらに頭を抱えていた。
「ユニークマジックって何?」
そこから説明しなきゃいけないのかこのへっぽこお嬢!許さねえ。
「魔法にも3種類あってな、ノーマルマジック、エクストラマジック、そしてユニークマジックという3種類だ。
ノーマルマジックっていうのは普通の人でも練習して、魔力があれば使える魔法である。ファイアーボールだったりウィンドカッターだったりな。
そして限られた人しか使えない魔法がエクストラマジックだ。これは練習してどうこうの問題ではなく、体質が関係してくるため、その人にあった魔法を
見つけなければいけないということが課題だ。ちなみに甘堕さんとかウィング団長とか俺も使えるが、超上位魔法として時空魔法が挙げられる。
でも俺は大体のエクストラスキルを使える。そして自分1人しか使えない潜在能力のようなものがユニークマジックだ。魔法使い職でも1人一個に限定される。
というか持ってない人の数が大半だけどな。」
その説明を聞き、甘堕さんが
「ちなみに私のユニークマジックは「危機察知」だ。これは自分の友人が生死を分けるピンチにある時、その場所に移動することができるという能力だ。
そのため私は六花の危機をいち早く理解するためセイクルシュティア王国の魔法戦士として働いている。」
なるほど、だから六花の危険を察知して対処することができたんだ。
「ということは転移魔法は持ってないってこと?」
らぴさんが質問したら甘堕さんは
「まあそうなんだ。というか転移魔法使いの魔法使いは国に1人いたらすごい方だからな!ウィングとKOHA9さんがおかしいんだからな。」
と反発した。確かにウィング団長以外で使っている人を数人しか知らない。無駄に魔力も食うし実戦ではあまり使いたくない魔法だ。というかその前に一つ疑問を解消したい。
「ところで六花、なんでお前は自分の国ではなく森に住んでいるんだ。」
俺は六花にそう言及した。六花と甘堕は寂しそうな顔をして答えた。
「死んだんだよ。」
は?
「六花の親は死んだんだよ。」