絶望と嘆きの果て、君たちは何を望む

ウイング

第三話「噂」

うちらのメンバー間の会議から2日が経過した。
ウィングさんは個人の任務があるだかで居なくなったし、kazuさんはなんか他の仕事があるらしいし。
今は1人で射撃訓練をした後の食堂にいる。
食堂にはめっちゃ質素なものしかない。
まあ食えるからいっか。
そんなことを考えながら魚の丸焼きを注文すると、後ろから声をかけられた。
「おう、久しぶりだな、がっこう以来。つっても卒業してから三週間しか経ってないけどな。」
しからだ。こいつはスパイ学校の同級生。
特技は車の運転。っていってもそこまで使わないけど。
「話しかけないでください。」
俺は突き放すようにそう言った。
「まあまあ、聞いて欲しい話があるんだ。ウィングさんの噂。」
え、ウィングさんの噂?何それめっちゃ聞きたいんだけど。
「ま、まあ話したいんだったら聞いてやっても良いぞ。」
そういうとしからは笑いを我慢する顔で
「ふふふ、OK分かったよ。」
そう言うと、あいつはスキップをしながら爆速で食堂の魚を取りに行った。
「ウィングさんについての話なんだけど。まずウィングさんって1班4類スタートのエリートだったんだよ。そこから技能テストなどで4班1類並の実力を持ってることが判明した。」
へー。でも今1−4だよ?
「ここからが問題なんだ。あの人が行った任務はことごとく失敗に終わってる。なぜか敵軍の量が多かったり、敵軍に狙撃されて仲間が全滅したりなどだ。」
ふむふむ。
「で、その話からついたあだ名は死神だ。でも、ただの事故だと思うけどな。」
「その根拠は?」
「ウィングさんはお人好しで有名なんだ。たまに暴言吐く時はあるけど。」
なるほど、でも一度も死なないって不自然じゃないか?
「その人って敵軍のスパイの可能性ないか?」
そう質問すると、しからが即答して
「いや無いね、あの人は生まれも育ちも学校もこの国だから、外部と接触はできないはず。」
まあただ不運なだけか。それなら良いんだけど、偶然っていうのが少し引っかかる。
しかしなんでウィングさんは死んで無いんだ?襲撃されたら死ぬはず。
いや?でも元々のポテンシャルが高いからか?
「そう良いことだ、まあそのほかに面白い話があるんだが聞くか?」
「面白い話?」
「そうそう敵のスパイの話。」
敵のスパイか、まあ情報を持っているだけで悪い事はないんだが、仕事には関係しないだろうな。
「最近"蒼天"っていう敵国のスパイがいるんだよ。」
流石にそれは知ってる。
「で、蒼天さんがどうした?」
「あ、知ってるの?その人が1人でうちの4班1類を全滅させたとか。」
え、じゃあ結構すごくない?でもまあ大したことはなさそうだな。
それにしてもウィングさんがそこまで不運だなんて、しかし難しいな。今回の任務うまくいくと良いけど。
「しから〜〜〜お前んところのリーダーが呼んでるぞ?」
そう誰かが言うと、しからが
「あ、やっべ。今日作戦会議あるんだった。じゃあまたな。」
そう言いながら去っていった。
ーーーーー
今日は任務決行の日、全力を尽くすしか無いか。
しかしウィングについてまだ気になることがたくさんある。
まあスパイなんで色々調べたんだが。どうやら黒の形跡はなさそうだ、尾行しても他の人との接触はなさそうだし。
レーダーで見ても変なところに行った形跡は無かった。どうやら考え過ぎたらしい。
「よし、最後の確認だ。とりあえず甘堕とゴジラで見張りを倒す。そしてkazuとヌーイはその間に中に入って侵入。奴らのデータを取りにいってこい。」
無線でウィングさんが確認をした。もちろん返事は
「「「「了解」」」」
「よし、何かあったら連絡する。ではGOのサインまで待機」
それにしても学校で練習訓練はやったが、本番は初めてだ。まあ緊張はしてないけど。
「GO」
俺たち4人は一斉に走り出した。