絶望と嘆きの果て、君たちは何を望む

ウイング

第一話「新入り」

血に塗れた戦場、錆びた匂いのする工場、薄暗い空、戦争と言うとそう言うものをイメージすると思う。
しかしそれは出鱈目なfakeに過ぎない。
本当の戦争と言うものは、表面下で行うものだ。
「わーい」
「あはははは」
可愛い子供たちが公園ではしゃいでいる様子を横目見ながら、俺は新しい職場へ向かう。
ここはキルス王国、平和な国だ。
正確に言うと、政府が平和な国を取り繕っているだけであり、現在も隣国のキリバン王国と冷戦中。
お互いがお互いの国にスパイを送る世の中になった。
なぜそうなったか知らない。我々には知る由もないのだから。
我々には任務がある。敵国の幹部を殺し、情報を盗み出すこと。
そして祖国の平和を守るため、生きる。
国のために死ぬ。
そう言う任務を押し付けられた、いわゆる「捨て駒」たち。
それがスパイなのだ。
生きるために殺す。死ぬために生きる。
そういうものだ。
そして今、国会議事堂の地下まできた。
そこにはスパイたち約1000人が根城にしている。
「えっと?俺の部署は、国務職員スパイ課1班4類3分隊...?」
なっが、え。
そんなことを思っていると、ふとすれ違う人たちの話が聞こえる
「お前何番?」
「2班5類8番隊」
「あー、5類か、まあ2班の5類なら新入りだったら悪くないんじゃね。」
「どういうことだ?」
「つまり1班の1類から5班の5類まだあるんだが、1班1類から、2班1類、3班1類、4班1類、5班1類、1班2類…という順番に上がっていくんだ。分かったか。」
「なるほど、でもお前も新入りだろ。」
「うちの兄がスパイなんだ。今は3班2類だったかな。でも昔は4班1類だったらしい。そこの教官めっちゃ怖いらしい。」
「へー」
「興味ないな!!」
「ご名答」
え、4班1類の教官めっちゃ厳しいの?やっば。まあ仕方ない、行くしかない。
「えっと?ここが1班の4類か。入ろ。」
ドアを開けると、そこには全員が整列していた。
「お前が新入りか、後3人いるらしいが、どこだ?」
「後から来ると思います。」
「くっそ10分前だぞ?やる気あんのか?」
「すいません」
「いやお前に言っていない。自分の班のところに並べ。」
なんかすっごい威圧感がある人だったな。めっちゃでっかいし。
俺が並んでから数分後に、新入りさんが3人入ってきた。
「おい!!!新入り!!!!13秒遅刻だ!!!」
「いや、でも集合時間4分前でs....」
「5分前集合が基本だろ!!!それに下っ端なら先輩より先に来るのが礼儀だろ!!!」
いや理不尽。まあ常識だけど。そこで怒る先輩あんま居ないけどな。
「すいませんでした。」
「....チッ。でも最初だから許してやろう。次時間守らなかったらつまみ出すからな。」
「すいませんでした!!!」
不機嫌そうな顔をして教官が全員に話を始める
「ここは1班4類だ。新入りが入れる中でも1番最高の成績のやつが入れる。だがスパイ学園で上だからと言って浮かれるな、分かったな。」
「「「はい」」」
「ところで自己紹介がまだだったな。俺が1班1類4番隊ライファーだ。普段はそちらの任務があるが、任務がない時はここに居る。何かあったら言え」
「「「はい」」」
「そして3番隊、手を挙げろ。」
え、俺かな、手を挙げよ。
「おい、そこはリーダーだけで十分だ。」
うー恥ずかしい。
「はいはい僕です。」
「ハイは一回で良い。お前たちの隊には一週間後、任務に取り組んでもらう。新人育成しながら配置を考えろ、以上だ。」
そういうとライファー教官は去っていった。
「あはは。新入り君たち遅刻で遅れてるの可哀想www。あ、新入り君初めまして。僕の名前はウィングって言います。この隊のリーダーです。よろしくお願いします。」
「あ、はい初めまして。俺の名前は...」
「自己紹介はさておき今度の任務について説明するからよく聞いて。今回の任務は敵国のバイオ科学研究所に行って資料と試薬を強奪して上に持っていくこと。がんばろ。」
んー自己紹介させてくれ。まあまずは任務について知れたから良いや。まあでもリーダーのウィングさんは個性強いのは間違いなさそう。
「そこの...初めまして。俺はkazuだ。よろしく。新入りでこの隊なのは珍しいね。」
「そうなんですか?」
「そうだな。なんなら初めここだった人は1類にいく人も少なくはないから、期待して良いよ。」
「ほんとうですか?」
「まあこれからもよろしくねー」
あーこの人が2人目か、あともう2人いたはずだけど...まあ後ででいっか。