world behind coffee shop

六花

4話 暗闇の奥に

「店長!!!!!」「KOHA9さん!!!」
咄嗟に甘堕や六花たちが叫んだ。
『やはり…汚れとるのう。だが、まぁ…多少は腹の足しになりそうじゃのう…』
そのときKOHA9さんが月夜見尊から逃げようと抵抗した。
『なんだ?そんなに食われたいのか?じゃあお主から食べてやろうかの。』
「やめろっ…!離せ!」
「おい月夜見尊。あのときのこと、もう忘れたのか?4年なんて短いって自分で言ってたもんなぁ…忘れてんなら思い出させてやろうか?」
月夜見尊が焦ったようにおどおどしている。
『お、落ち着け!ウィング!これはちょっとした遊びじゃ!からかっただけじゃ!』
「あ?じゃあさっさと降ろせよ。」

僕たちは無事?地上に降りた。
『ウィ、ウィング!疲れてないか?もう4年もずっと喫茶店なんてやってるんだ、肩が凝ってるじゃろう?マッサージしてやろう。』
「大丈夫か?上で何があったんだ。」
甘堕達が心配そうに見ている。どちらかといえば、月夜見尊の反応の変わりっぷりに驚いているようにも見える…
「大丈夫。そういえばみんなは月夜見尊と会ったときないんだったね。心配させてごめん、もうあんな事しないように言っておくから。」
と微笑んでみた。月夜見尊の顔が真っ青になったように見えた。
「来い、コン。」
チリンとどこからか音がしたかと思えば、いつものようにどこからかコンが現れる。不思議なやつだ。
「呼びましたかね、ご主人。」
「月夜見尊の霊素、半分ぐらい消せないかな。無理そうなら四分の一とか。」
「月夜見尊様ねぇ…妾らのような上級妖怪でも流石に神は難しいかもねぇ。まぁやってみるよご主人。月夜見尊様、お手を拝借してもよろしゅう?」
『ぬっ、なんじゃ、何をするんじゃ。』
「まぁまぁ、そう仰らず、少しの間ですから。」
そう言ってコンは月夜見尊の手を取った。そして、ふーっと息を吹きかけると、月夜見尊の気が一瞬飛んだように見えた。
『?!…、!????、!?!???』
「あらあら、やりすぎちまったかねぇ?ご主人こんなもんでいいかい?」
「あぁ、三分の一はちょっとやりすぎかもね。まぁいいよ。それじゃあKOHA9さん、月夜見尊と契約することで大丈夫?」
「あー、いえ、契約というよりは隣について護ってもらえればいいので、やっぱり大丈夫です。ありがとうございます。」
「そう?じゃあこれで今日は終わりかな。また月夜見尊がなんかやったら言ってね。」
「わかりました。」
そうして僕たちは解散してそれぞれ家に帰っていった。

『少し遊んだだけだったんじゃがなぁ。まぁさっきのことは許せKOHA9。改めてこれから宜しゅう頼むぞ。』
「はい。よろしくお願いします。」
『のう、KOHA9、お主、儂と昔会わなかったかの?』
「?いや初めて会ったと思いますけど……いつ頃ですか?」
『二、三世紀前くらいじゃったかのう。もう覚えとらんわい。』
「僕産まれてすらないですね。気の所為だと思いますよ。」
『そうか。まぁよい。質問攻めのようで悪いが、"せかい"という男を知らんか?』
「せかい…ですか?どうでしょう。聞いたときあるような気もしますが…帰ったら調べますか。」
『そうしてくれ。』
「呼びました?僕のこと。」
「…誰ですか?」
『おい、KOHA9、逃げるんじゃ。今すぐに。』
「始めまして。俺の名前はsekai。えーっと…」
「僕はKOHA9です。」
「KOHA9さん。よろしく。」